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圧倒的!リベラリズム宣言で日本のリベラルの現状について考えた

圧倒的!リベラリズム宣言 五月書房新社 感想

Twitterでよくちょっと過激な安倍政権批判のつぶやきを拝見している法政大学の山口教授の名前があったこともあり、手にとってみた同書「圧倒的!リベラリズム宣言」は非常に興味深く読めた(著者は山口二郎 外岡秀俊 佐藤 章)。

 

同書は、五月書房新社さんが新たに発足させた、現在の日本の状況に真正に向き合い、問題を剔抉していく現代の対話篇「TOPICA 2018」(トピカ 2018)シリーズの第一弾だとのこと。

 

TOPICAはアリストテレスの著書名にも由来を持つということで、対話篇ということで、対話や鼎談、多人数による討論、専門的知識に耳を傾けるインタビューなどの形式をとって、深掘りしてゆくシリーズであるようだ。



私自身、それほど政治の知識が深いわけではなく、リベラルと保守の正確な区分けさえも怪しいレベルの人間ではあるが、本書はそんな人間でも読めるように予備知識等が豊富に記載されていたりと配慮されており、インタビューや鼎談などの形式も取られていることもあり、骨太ではありつつも分かりやすく読みやすかった。

 

本書を通読して、最も印象に残ったのは前回の衆議院選挙で、前原さん率いる民進党が分解し、一時は勢いのあった小池さん率いる希望の党が失速する一方で枝野さん率いる立憲民主党が躍進を遂げた、その経緯について、解説した部分(P32あたりが中心)。

 

希望の党(保守系の党ではあるのだが、)は、小池人気もあり安倍政権への強力な対抗軸として急浮上したものの、民進党から合流しようとした人々に対して(前原さんが望んだだろうように)無条件で認めることはせず、安保法制への賛成や改憲支持といった合流基準を出し、その基準にあわない人を“排除”しようとした不用意な発言等もあり、一気にその勢いを失った。

 

この希望の党の失速で、安倍政権への野党連合での挑戦はならなかったが、混沌の中で生まれた立憲民主党は、その排除された人々の受け皿として純度の高いリベラルな議員の集まりなったことで、旧来民主党や民進党が抱えていた議員の右から左までの主義主張のばらつきを解消することができた。

 

山口教授曰く、「非常にすっきりとした主義、主張を持った新党ができて、心置きなく応援できる(p39)」リベラルの人々ための党が成立したとのこと。

 

教授が今回の選挙を通じて、日本のリベラル層の意志の大きな受け皿として立憲民主党が出来上がり、それが今後の日本のリベラリズムを守ってゆく重要な存在になりうると考えていることが伝わってきた。

 

個人的には、2009年の政権交代に期待をしていたものの、その後やはり民主党は・・・という感じになってしまい、その後成立した自民党政権には雇用や株式といった経済がそれなりに好調だったこともあり、満足はしていたというのが正直なところだ。

 

ただ、確かに昨今の安倍政権周りの不祥事を目にすると、日本の政治って本当に大丈夫なのかな・・・というような感想を抱かざるを得ないのも事実(このあたりは、最近評価を落としている朝日新聞が汚名挽回ということでメディアとしての権力監視の役割を十分に晴らしたということもあったようだが。。。)。

 

本書はそんな人間が今後の日本の政治を考えるのに非常に示唆に富んだ内容だった。

 

日本のリベラルが、果たして今後の日本の中で勢いを増してゆくのか、消滅してゆくのか、少なくともしばらくは立憲民主党がその鍵を握りそうであることが分かった。

 

個人的には、政党には政策立案能力と官僚等と対立するのではなく、うまく操縦するような政策実行能力を望んでいる。

 

国政の緊張感という意味でも枝野さん率いる立憲民主党が、これまでの民主党民進党のような数合わせのハリボテになるのではなく、本質的な力をつけ、自民党の独断場にさせないような力をつけて欲しいとは思っている。

 

本書はどうすればそうした力をつけうるのかの考察もドイツやアメリカの民主勢力の例なども出しながら随所に散りばめられていた。

 

これ以外にも、メディアと政治の関係についての記述などもなかなか本質的なことが書いてあり参考になった(旧来型の大手メディア出身の人たちが自分たちの立場をどう捉えているのか、ということにも興味があったので。)。

 

日本のリベラルを、日本の政治を考えるためにいいきっかけを与えてくれる本。折に触れて読み返してみたいと思う。


圧倒的!リベラリズム宣言

  • 山口二郎_::_外岡秀俊_::_佐藤章
  • 五月書房新社

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