営業本マニアックス

法人営業やテレアポなど、さまざまな営業のテーマに関する本を取り上げ、おすすめのタイトルをリストアップしてゆきます。

エスキモーに氷を売るを読んでみた感想

かまくら

 

営業名著おすすめ12選中の一冊。

 

かなり昔に少々話題になっていたこの本、エスキモーに氷を売る(副題:魅力のない商品を、いかにセールスするか) ジョン・スポールストラ著、を実家の書棚に見つけて、少しづつ読んでみた。

以前から刺激的なタイトルだなーと思って頭には残っていたのだが、この本を読めば、エスキモーに氷を売ることも可能、ということで、実はエスキモーに氷を売る方法自体は出てこないw

 

この本は、NBAの弱小チーム、ニュージャージー・ネッツの元社長で、マーケティングコンサル会社を経営する筆者が、そのネッツを題材に、ジャンプ・スタート・マーケティングという筆者独自のマーケティング手法を解説したものだ(ちなみに筆者が冒頭で書いているように、筆者はこのジャンプ・スタート・マーケティングはスポーツでなくても適用可能と考えている。)。

筆者の言うジャンプ・スタート・マーケティングは、以下のようなものだ。そのまま羅列してみる。

1 自分が誰かを見誤るな
2 顧客の購入頻度を高めよ
3 自分の商品のエンドユーザーの名前と住所を入手せよ
4 新しい顧客の獲得には、トップが率先して取り組め
5 小さな実験をすることで、大きな変化をつくりだせ


6 いますぐ、革新的なマーケティングをせよ
7 自分のアイディアを上役に認めてもらうために万全の努力をせよ
8 「誠意ある販売」に努めよ
9 顧客がいるところへ行き、その場の雰囲気を「感じ」とれ
10 自社の商品に関心を持ってくれる人だけをターゲットにせよ


11 リサーチに決定権を与えるな
12 年次報告書をクライアントに提出せよ
13 社内のスーパースターがやる気をなくす要素を排除せよ
14 意図的に”よすぎる”条件をもちかけよ
15 バックルームをマーケティング・ツールとして活かせ


16 大口の顧客と小口の顧客を区別せよ
17 経営がきびしくなったら、セールススタッフ(変動費)を増やせ


ジャンプ・スタート・マーケティングによることで、日本語タイトル通り、エスキモーに氷を売るような、厳しいセールス環境でも、立派に売り上げを作ることができる、とのこと。

 

私が読み取った、ジャンプ・スタート・マーケティングの重要な要素は、

 

・自分たちが何者であるかをしっかり把握する


・過去の購入顧客リスト等で、自社に興味のあるすべての人をリストアップする


・そのリストに対して特別なオファーなどを提供し、購買誘導する(筆者のいうところの”一つだけのセグメントに対してマーケティングする”)


・マーケティングのイノベーションに意識的に取り組む


そんなところか。

リストの重要性と、そのリスト内のユーザーとのコミュニケーションの開発、イノベーティブなマーケティング手法に取り組むことの重要性そうしたことが強く伝わってきた。


昨今、コンテンツマーケティングということが言われるが、やはり、顧客リストを作り、それの中を分類し、自社に対して関心を持ってくれた人に対して適切にコンテンツを提供してゆくことが大切だと再度感じた次第。


また、個人的には7の上役への説明時の準備の重要性という話も参考になった。
(電気イスを免れるために、最高裁判所へ向かうぐらいのつもりで準備せよ、とあって笑った。)


特に売れない商品のマーケティング担当になった時にどうやってゆくか考える際に参考になる、結構いい本だと思う。


■一文ピックアップ

人々が商品を買わないのには理由がある。それは偶然に起こるわけではない。ジャンプ・スタート・マーケティングというのは、誰も欲しがらない商品を消費者に無理に押しつけることではない。それは、誰も欲しがらない商品をとりあげて、その販売戦略を変え、作り直し、あるいは中身を入れ替えて、お客が買わずにはいられないものにすることである。 p235

 

エスキモーに氷を売る目次
商品には、あってはまずいところに欠点があるもの
顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるように直接頼む
顧客が買おうと思い立つ少し前に、アプローチする
少額だが、非常に目につくお金をクレージーなアイディアに使う
ミスにボーナスを出す
自社の商品が、われわれを救うことはない
「テロリスト・グループ」をつくり、状況を変える
顧客が買いたがる商品だけ売る、少しだけ多く売る
エド・ゲルスソープのルール

一つだけのセグメントへのマーケティング
リサーチにだまされない
クライアントをヒーローにする
「わが社ではいつもそうやってきた」は、何かが間違っている最初の警告
買わずにいられない商品をつくる
どうすれば、バックルームを顧客のための部署にできるか
すてる顧客を選べ
60万ドルと3万2000ドル、どちらを選ぶ。