営業本マニアックス

法人営業やテレアポなど、さまざまな営業のテーマに関する本を取り上げ、おすすめのタイトルをリストアップしてゆきます。

【レビュー】人生に奇跡を起こす営業のやり方 田村潤・田口佳史

東洋思想

営業で人間的な幸せを手にれるとは?

 

有名な営業本『キリンビール高知支店の奇跡』の著者田村潤さんと東洋思想家田口佳史さんの対談本。

 

以前から『キリンビール高知支店の奇跡』は営業本の中でも非常に売れ行きがよく、Amazonでの評価も高いことから興味を持っていて、いつか手に取りたいと考えていたのだが、ソーシャルメディアで、新刊本としてこの本の告知を見つけて思わず買ってしまった。

 

本の内容としては、田村氏が主導したキリンビール高知支店の奇跡がなぜ起きたのか、東洋思想の視点を入れて言語化し、その秘密に迫るというものと言っていい。

 

その追求の中で、営業とは何か、どうしたら営業をうまく進めることができるのか、営業を超えた人生への影響は何か、その秘訣が語られている(田口さんの言葉を借りれば、「営業という仕事が、なぜ人間的な成長や幸福をもたらすのか」について語られている。)。

 

営業を“修行”として捉えるなど、少し精神的な部分に踏み込む内容もあるが、営業度絵成果を出すためであったり、幸せな人生を送るためにはどんな心で当たればよいのかが書かれており、ためになる。

 

営業で成果が出ていない人や営業チームを率いるマネージャーさんなどに読んでもらいたいし、営業から離れた人にとっても道を極めるには、というような観点からかなり参考になるのでは?と思う。



以下、印象に残った文章を少々抜き出す。

 

P61-62 田村さん
「気を合わせる」ことは「迎合」ではない。迎合というのは、自分がそんな要素をまったく持っていないのに嫌々合わせること。そうではなくて、自分が持っている多様なものを柔軟に使って、相手と気を合わせるのです。
・・・
世の中には多様な考え方や価値観があることを知っておいて、お客様に合わせ、上司に合わせれば、苦手な人がいなくなるのですから、むしろ自分が自由になれるのです。

 

p12 田口さん

・・・実は営業ほど「人間的な幸せ」「人間としての成長」を得られる仕事もないのです。これは営業という仕事が、人を相手にするものであると同時に、何より、「自分自身を相手にする仕事」だからだと思います。

 

P71 田口さん
主観ばかりで見てしまうと、自分の都合のいいようにしか見ない。それに対して信頼できる人に相談し、自分でも深く考え、客観視できるようになると、視野が広くなる。すると袋小路に入らず、自由になれる。

 

 

P95 田村さん

社内を説得する突破口は「社の共通の基盤」にある・・・社内で何かを説得する場合には、そのような「共通の基盤」をベースに置けば、みんなの理解を得やすいことは間違いない。

 

P102 田口さん

どういう職業であれ、やはり普遍性のある部分、「根本」というべきものがあるのです。それが何かといえば、なんといっても「利他」です。「どうすればお客様に喜んでいただけるのか」ということ。

 

P109 田村さん

営業も、自分の足で立つためには、「自責」でなければいけません。責任を持たないといけません。

 

P200  田口さん

・・・私は、営業という仕事は、「悟り」にさえ至ることができる仕事だと思っています。私にいわせれば、日々の営業が修行になる。営業をすることで、悟りの境地に至って、幸せになれる。

 

東洋思想の入門的な内容も多く、東洋思想にも少しばかり興味が湧いてきた次第(ちょっとうがった見方をすると、営業マン向け東洋思想入門書なのかもしれない。)。

 

*長谷川さんが最近光文社新書から出しているぶれない軸をつくる東洋思想の力という本を枝廣さんという人と共著で出していて、それを書店で見つけて買ってしまった。機会があればレビューしてみたい。

 

※読んでみました。私自身、東洋思想に詳しいわけでもないのですが、今まで生きてきた経験に照らして、含蓄のある内容で非常に参考になりました。今後も未読したい一冊でした。

 

自分の営業活動を大きな視点から捉え直すことができる本だと思う。重要な営業コレクションとして継続的に読み返すことにする。