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川上哲治 「遺言」 感想

9連覇を達成した巨人軍の監督をつとめていた川上哲治さんの著書「遺言」を読んでみました。


遺言 (文春文庫)

 


ある新聞の読書案内の記事広告で、伊藤忠商事会長丹羽宇一郎さんが、現楽天監督の野村さんの著書「巨人軍論」と一緒に、おすすめの本としてあげていたの見たのがきっかけです。

 

 

正直読んでみて、非常に深い、というのが印象でした。

 

 

 

それはおそらく筆者のバックボーンになどで培ったものがある、といったことも影響しているのでしょう。

 

勝負の世界を生き抜いてきた川上さんの組織論・人材育成論・人生論、どれもが、とても参考になりました。

 

 本当の一流とは、やはり心技体の充実を目指して一心不乱に目の前の課題に対処していくものだ、ということを思い知らされました。


以下、心に残った部分をいくつか抜き出してみます。

 

 p172あたり  臆病者が大成する

 なにか自分のものを創りあげるような人は「どうしてあんなに細かくて、神経質でなくてはいかんのか」といわれるほど実際は細心で、敏感な神経の持ち主ばかりなのである。

 

 常に自分を省みて、より一層自分が納得する力や技を身につけようとして、自分を掘りさげ、自分に疑問を持ち、その疑問を解いていこうとする気持ちが、人にも増して強いのである。

 

p190あたり 徹底の語源の部分

 

(「徹底」の語源について)

 

わたしは若い頃、「川底のゾウの足だ」と教わった。川を渡る時、体重の重いゾウの足は川底を踏みながら、さらに底の泥砂を踏み抜いて、底の底まで踏み通して歩いていく。「徹底」の語源はそういう意味だというのだ。

 

→プロというのはどういうものか、上の二つの部分を見ても伝わってきますね。

 

この「徹底」というのが川上さんを語る上でのキーワードともなるようです。

 

p201あたり

 

わたしは結果より過程を大事にする主義だが、自分が正しいと思い、よかれと思ってやったことでも、その過程でうまく行かないことが分かると思いきってやり方を変えた。

 

つまり、いつも正しいことをやっていこうという姿勢を貫くのである。いつも正しいことをやっていこうという姿勢は間違った場合はすぐに直し、訂正していく姿勢に通じるのである。

 

→臨機応変に訂正していく、という凝り固まらない姿勢は見習いたいものです。

 

p204あたり

カネや結果というものを度外視して、自分の技術や心気をとことん磨いていくことに全力を傾注する。

 

カネや結果を一切考えずに、その折々にやるべきことのみ考えて、技術なら技術一点のみを追求する。

 

そうした集積がないと、なかなか鬼神の如き境界の妙には立ち入ることができないものだ。

 

→ある程度のお金は必要だと思いますが、、、本当の一流(鬼神の如き境界)になるためには、

 

お金にとらわれすぎず、対象となる分野に一心不乱に取り組む、といったことが必要なんですね。

 

 

p241あたり 禅について語っている部分

 

禅は教義や理論、理屈を習うのではなく体験するものだ。自分と静かに、しかし真剣に向き合って、自分の内部に湧きあがってくるものと、真理-正しいあり方とを照らし合わせて、自分の生きがいと生き方とを常に問い直す習慣を身につけることだろうと思う。

 

(中略)

 

・・・わかりやすくいえば深く、徹底して考え抜く習慣を身につけることといってもよいかもしれない。

 

(中略)

 

 

考えに考え抜けば、人間には「覚悟」が生まれる。覚悟とは、これだけ考え抜いたのだから結果にとらわれず、やることだけはしっかりやろうという気持ちが定まるということだ。

 

 →いろんな情報が錯綜している現代、こうした徹底して考え抜く習慣、というのはなかなか持ちにくいものですが、少しでもそういう機会を持ちながら生活をしたいものです。

 

楽天の野村監督が著書で、昨今の巨人の凋落が人間教育の欠如にある、といったことを書いていましたが、この「遺言」を読んで、逆に川上時代の9連覇の意味が分かったような気がしました。

 

川上さんはかなり精神的に強い人だと思います。

 

現代ではとかく敬遠されがちですが、やはり精神力(人間力)みたいなものは大切なんだと認識させられました。

 

この本、今後大事にしてゆきたいと思います。