法人営業本おすすめ10選で取り上げている一冊。
この本藤原和博さんのリクルートという奇跡は今から約20年前、丁度私がリクルート式の営業を取り入れたネット広告メディアに新卒で入った頃に出版された本だった様子だ(当時は読んでいなかった気がする。)。
当時を思い出すと、新人研修の名刺獲得キャンペーンからテレアポのロープレ、テレアポ、営業同行、ヨミ表の作成、営業会議、とリクルート出身の営業幹部がまさにリクルートの強い営業を再現したいと奮闘している会社で私は社会人の第一歩を踏み出した。
ネット媒体を作って昔リクルートでガテンなどの営業を経験していた上の人とヒアリング活動に回ったことが懐かしい。
その後転職した2社目もネットの最大手の会社であったがリクルートの人が営業や営業企画の幹部にいたので、リクルートに大きく影響を受けているのは明らかだった。
だからリクルートという会社は私の営業人生の中では大きな意味を持っていたと思う。
本書(リクルートという奇跡)は著者の藤原和博さんが、「リクルートとは一体どんな会社なのか、なぜ社外で通用する人材を多く輩出できるのか、リクルートマン& ウーマンから見えてくる新しいサラリーマン像とはどんな姿か、といった問いかけに応えようとして」できた書物だとのこと。
営業についても藤原さんが営業としてキャリアの大半を歩まれたこともあり、リクルート式営業の実態がかなりの部分把握できるようになっている。
営業に関連する部分だけ抜き出してみると、以下のような箇所があった。
P 39 クレームを機会にした逆転営業が私の営業マンとしての刷り込みになった
p 41 (土屋さんから)1億円の仕事は取れる企画書の書き方を学んだ
P 47 リクルートの営業の第一線にいる担当者が 、本気でシティバンクという会社に向き合っている。相手の会社の課題解決に自分の存在を賭けている。力を出し切って自分の信じる企画を提案すること、それが営業マンとしてのプライドだ。
P 55 リクルートマンの顔は常に外を向いていた
(注)外=お客さん
P 104 宅訪という関西系営業テクニック
(注)宅訪・・・アポも取らず、お客さんの家に訪問すること
P 107 リクルートの営業の強さはこの関東の理詰めの営業と関西の泥臭いドブ板営業がハイブリッドされているところにある
P 110 私は大阪での営業を経験することで土屋さん譲りの「企画型営業」に加えてドロドロの地べたを這う「関西型営業」を垣間見ることになった
P 156 (付加価値のないINSという通信の代理店事業で)だから朝から晩まで、打ち合わせ、営業同行、技術の勉強会、マネージャー会議といった具合になった
P 160 リストアップと情報収集、営業シナリオ作り、アポ取り、飛び込み、初回アプローチ、手紙の活用など、新人を即戦力化するための”リクルート流営業ノウハウ”の底上げがなされた事業でもあった
この本はリクルートのこうした営業のあり方だけではなく、
- リクルートのビジネスの成り立ち
- リクルートのビジネスの仕組み
- 業容拡大の状況
- ビジネススクールとしてのリクルート(人材輩出企業と呼ばれる所以)
- リクルート事件について
- 藤原さんとリクルートの関係の変化
- リクルートマンシップについて
などが詳しく深く書かれている。
この他にも社長への退任要求から本が始まるなど、興味が喚起される内容が満載で、かなり楽しめた。
リクルートが今のネット系や広告系の企業活動に与えた影響は大きい。これは誰しも納得のゆくところだろう。
本書をきっかけにリクルート系の営業についての考察をもう少々深堀りしてみたいと思い、今日大塚寿さんのリクルート流「最強の営業力」のすべてという本を買ったので、こちらも読み込もうと思っている次第。
もちろん本書も蔵書として読み返してゆきたい。
最後にタイトルについてちょっと考えてみたが、それまでの日本には存在しなかった新しいビジネスモデルや精神性を持った企業としてのリクルートの誕生は奇跡的なものであり、日本に与えた付加価値は相当なものがある、というような筆者の思いが色濃く出た用言なんだろうな・・・
リクルートという奇跡目次
プロローグ 株主総会で社長退陣を要求
第1章 アルバイトが動かす会社
第2章 無敵の営業
第3章 情報誌は市場である
第4章 リクルートビジネススクール
第5章 非合理を反面教師にした経営
第6章 通信自由化の罠
第7章 スキャンダル克服
第8章 ダイエーショック
第9章 リクルートマンシップにかけて
エピローグ 河野栄子社長への手紙
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