営業本マニアックス

法人営業やテレアポなど、さまざまな営業のテーマに関する本を取り上げ、おすすめのタイトルをリストアップしてゆきます。

【レビュー】道は拓かれる 後藤光男

ある野村證券人の履歴書

 証券営業出身の人が書いた営業本おすすめの10冊で取り上げている一冊。

 

野村證券に新卒入社し、支店長や営業企画部長等を歴任した後、日本合同ファイナンス(JAFCO)の取締役や野村企業情報の社長まで上り詰めた著者による野村證券回顧録。 副題は野村とともに35年。

 

前半は新人社員として端株を売ることから始め、周りの支援を受けながら徐々に証券マンとして成長していく様子が青春小説的に生き生きと描かれている。

 

特に新規外交に強かった方の様子で、関連する記述も多かった。

 

後半は支店長になり思わぬ出来事に遭遇して翻弄され、その後本店に回りマーケティングに邁進する様子が描かれていた。

 

証券業を取り巻く時代の変化・環境の変化についても詳しく書かれており、興味深かった。

 

 また、お客さんとのやり取りの様子が生々しく書かれており、証券営業のリアルに触れることができる感じがした。

 

日清食品の安藤百福とのやり取りや本田宗一郎とのやり取りなども書かれていて著者の仕事のスケールの大きさが感じられた。 



出世した人の伝記的な書物だけあって野村証券に対する感謝が全体として貫かれている感があって、個人的には、営業の影の部分などが書かれてないのかな、、、というような思いも持ったのだが、後半にその思いが吹き飛んだ。

 

 いきなり株価操作の容疑で逮捕されたという記述が出てきたためだ。



本日チェックした1文

 

 P 47

野村のセールスマンの仕事は「オポチュニティ・アンリミテッド」と言って自分の意志と努力で誰にもお会いでき、何でもできる発想の広い恵まれたビジネスである。

 

 P 63

証券マンにとって最も大切なことは明るさと割り切りの良さである。

 

P 74

しゃべるだけではダメだ。お客様の話を聞く時には徹底的に聞かなければならない。帰りの自動車の中で佐藤さんが野村マンの基本姿勢を教えてくれた。

 

P110 

・・・お客様は実に良く、環境の変化、株式市場の動意を見ておられる。どんなに悪循環が続いても、どんなに見通しが悪くても、お客様は、本能的に、市況を見ておられる。

 

 全体として野村への感謝で貫かれていたのは、11年に及ぶ裁判に野村や野村證券の関係者が全面的なバックアップをしてくれたことが大きかったのだろうと思った。 

 

時代の流れ・野村證券の会社の様子・営業マンの姿が分かり易く記述されていて興味深く読めたが、途中で急展開したので一層興味が増した感じだった。 

 

古い書籍ではあるが証券営業に関心のある人が「温故知新」( P 258)ということで手に取ると良い一冊だと思う。

 

 

 

道は拓かれる目次
第1章 日本橋一丁目一番地―野村証券入社
第2章 お客様、先輩、同僚、後輩―証券セールスマンの日々
第3章 山高ければ谷深し―名古屋駅前支店時代
第4章 危機からの脱出、経済成長へ―大阪支店営業部
第5章 舞台は東京へ、多彩な人々―新宿支店営業課長
第6章 支店長就任、そして協同飼料事件―原町田支店長
第7章 勇気づけて下さった方々―本社勤務
第8章 公社債時代の到来、野村の魅力―公社債部
第9章 四つの自信が合言葉―営業企画部
第10章 道は拓かれる―野村グループでの三十五年
終章 証券マンの活力向上―これからの証券業

 

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