この本(聞く営業でNo.1になる技術 田中実)は題名の通り、いかに聞く力を身につけて営業活動を成功させるかというのがテーマだ(営業活動にとどまらず、マネジメントや普段の生活まで、聞く力をつけることで人生の成功へとつながるということが語られている。)。
聞く営業とは?を整理してみると顧客に的確な質問を繰り返し、顧客のことをよく理解することで関係構築を進め、それを前提として顧客の意向を踏まえた的確な提案を繰り返し、結果として販売に成功するということだろう。
営業というと、とかくどう話すかということが重要と考えてしまいがちだが、本当はどう聞くかが非常に重要である
これは情報主権が顧客に移った昨今では、誰でもそうなんだろうと納得できるし、やろうと思えば誰でも実行できることなのように思えるが、本当の意味でしっかり実行できている営業マンは少ないのではないか。
もちろん社会人駆け出しで自信がない時は聞くのも難しい、ということはあるかもしれないが、駆け出しの人だけではなく、ある程度社会児経験を積んだ人でも、顧客のお構いなしに話しすぎてしまう人はいると思う(まあ、それも自信のなさからくる場合もあるかもしれないが・・・)。
上記は、自分自身の若い頃を振り返ったり、現在いろんな方から営業を頂いていての所感ではあるのだが、自分自身の現在のビジネス活動を顧みても部下や同僚の話をしっかり聞くことに課題が多くあるなぁと強く戒めを受けた次第。
全体的に聞くとは何なのか、どういう心持ちでことに当たるべきなのか、等非常に気づきの多い本で何度も読み返していく必要がありそうだ。
この本は以上のような内容に加えてコロムビアミュージックエンターテイメントの廣瀬社長やエキサイトの山村社長(いずれも発刊当時)などの聞く営業の秘訣の話が出てきているのも素晴らしい(特に山村さんは営業の鬼として名高い人だったと記憶しており、尚更興味深かった。)。
営業初心者だけではなくビジネスマン全般で一度読んでおく価値があるだろう。
■同書でチェックした箇所を簡単に紹介
P17
この時に気がついたのは、「お客さんも営業トークを聞くだけではなく、自分の話を聞いてもらいたいのだ」ということでした。このわずかな気づきは私のビジネス人生を変えたといっても過言ではありませんでした。
P46 コロムビアミュージックエンターテイメント廣瀬さんの言葉
営業で大事なことは、相手の欲しがっていることを短時間で見抜くことです。そのためにも質問力という聞く技術が必要です。必要最低限の質問で全体を想定することが大事なのです。
P63
電話営業の場合、アポ取りで必要以上に話すことは命取りになります。顧客に必要以上の情報を与えてしまえば、それだけ顧客に断る材料や口実を与えてしまうからです。
P152
聞くというの相手に考えさせる時間を持たせることでもあります。良質な質問は相手の思考を高めるといわれるのはこのためなのです。
P221
相手と対話をし気づきを引き出し長期的な関係を構築するためにダンスを踊るようなしなやかなコミュニケーション、つまり聞くことに重点を置いてコミュニケーションが未来形の営業そしてビジネスには求められていくのです。それこそがビジネスだけではなく人生においても勝者の条件になる時代を迎えているのです。
聞く営業でNo.1になる技術目次
第1章 営業2.0時代は耳で勝つ
第2章 営業マンに求められる「聞く力」
第3章 あなたの聞く力はどのくらい?「耳力」判定テスト
第4章 電話営業の「聞く技術」実践テクニック!
第5章 訪問営業の「聞く技術」実践テクニック!
第6章 営業マネジメントの「聞く技術」実践テクニック!
次はこちらの記事もどうぞ(聞く技術を更に突っ込んで考えたいという人におすすめ。)