「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という書籍でも有名な日本創生投資という会社を経営しているベンチャーキャピタリスト三戸政和さんの手による本「営業はいらない」。
以前から過激なタイトルやホリエモンの顔の出た帯で、ちょっと興味を持っていたが、釣りだろうという予測はしつつも手に取ってみた。
全般的に付箋を貼りまくったが、以下のような記述が特に印象に残った。
・郵便局・野村證券・スルガ銀行に代表されるように、今までの大量製品販売のなごりの営業活動に大きなひずみが出てきている
・アメリカのテスラや日本のバルミューダのようにカスタマーエクスペリエンス優先型の戦略をとることで、今までのような営業活動が不要になっている事例が出ている
・日本でもセールステックを使っての『進化形インサイドセールス』の採用が進んできている
・テクノロジーが生身の人間を生身の営業マンを代替する事態が起こっている
例えば、
‐大手医療サイトエムスリーのあるサービスの充実がMRの数を減らすことにつながっている
‐間接材向けECサイトモノタロウが間接商材向けの営業を不要にしている
‐対面型の証券営業マンがインターネット証券の台頭によりその存在を脅かされている
アメリカの事例や日本の通販の事例など、様々な論考を通じて筆者は以下のメッセージを打ち出している。
営業マインドはビジネスで最も大切なものであり続けるが、営業マンはいらなくなってゆく。優秀な日本の営業マンは自ら解放し、次の道へ備えを進めるべき。その道とは、クリエイティブ資本家への道である。
読みすすめてゆくと分かるのだが、この本では、営業マンは無くなるということの裏に営業は経営者になり、小商いを始めるべき、というテーマが隠れている(あ、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいに」つながるのか、、、というのが分かるのだが・・・)。
・セールステックは日本でどこまで浸透するのか
・浸透するとすると、どのようなタイムラインになるのか営業マンは減っていくのか
・営業マンの役割は変わっていくのか
・営業マンに限らないが、AIに代表される新技術によって自らの仕事がどう影響を受けるのか受けないのか
こうしたことを考えるのは今後の仕事人生を考える上でも意味のあることだと思っている。
評者は普段企画担当としてAIやビッグデータRPAなどについても比較的身近にあるという立場にあるが、セールススティックについても今まで以上に採用していくべきだというスタンス。
5年後、10年後、ビジネスマンとしてどう生き残っていくか自分の人生に選択肢を持つためにでも読んでおいて損はない1冊だと感じた。
営業はいらない目次
第1章 サラリーマンの不幸の根底には「営業」がある
第2章 僕たちはいつまでこんな売り方を続けていくのか?
第3章 テクノロジーが営業を殺す
第4章 営業不要時代の「モノ」の売り方
第5章 営業マンは今後どこに向かうのか
*アマゾンの書評も興味深かったです(大量のコメントが入っています。)。ほとんどの書評が「煽りすぎ!営業は完全にはなくならない」とコメントしつつ、「セールステック採用の流れについては大枠では納得できる内容だった」と書いている印象でした。
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