タイトルのインパクトで思わず買ってしまった同書「営業」とは再現性のある科学。
営業って、人間的な営みなので、科学ではない。だからハーバードでも教えてないでしょ、、、というのが定説だと思うけど、著者はいや、、科学的にとらえる事ができる営みなのだと、と本書を使って主張している。
参考リンク:【レビュー】なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか? フィリップ・デルブス・ブロートン
著者の木下さんはリクルートのSUUMO、調査会社のマクロミルを経て、homieという不動産スタートアップで役員をされている方である。
本書を読む中で印象に残ったのは、著者が「マーケティング」と「リサーチ」が営業が成果を出し続けるための法則の両輪であると語っていること。
営業本なのに、マーケティングとリサーチが大切と語っているので、一瞬頭に???が沢山出てきたが、この本では何故そう言えるのかが詳しく書かれている。
個人的には筋が通っていて、なるほど・・・と感じられる部分が多かった。
著者の言うマーケティングの考えに基づく営業とは「お客様の現在の認識を、あなたの会社に取って望ましい認識へと変化(させる)ためのアクションを起こすこと」(P46)であり、
リサーチとは「お客様の頭と心の中を深く理解すること」(P131)だとのこと。
*営業力=マーケティングスキル×リサーチスキル
これに加えてタイトルの通りの”科学”を担保するものとして、以下の「循環型の営業サイクル」という概念も示されている(P139)。
→知る→攻める→創る→
知る お客様を全方位的に徹底的に理解する
攻める 自社が提供可能な価値を積極的に伝える
創る 既存の枠にとらわれずに新しい価値提供方法を生み出す
これを繰り返していくのだという。
通読してみて、私の場合、営業の一線にいた際は、営業活動の中でこのマーケティングやリサーチに近いことはかなりやっていたと思う。ただし、この本にあるように意識的に体系だってはできていなかったかなとも思う。
当時このような能力が獲得できていれば、もう少しレベルアップできたかなあというのが本書を読んで正直に出た感想だ。
本書はなかなか言語化しにくい営業のあるべき姿がマーケティングとリサーチ、そして循環型の営業サイクル、等を使って分かりやすく記されている(従来考えられてきたリクルート式営業にマクロミル等で養われたリサーチ力がアドオンされ、更に強力な営業手法となっているということかな、、、とも思われる)。
中堅ぐらいの営業キャリアの人が更に上を目指したい、という時に読むとかなり役に経ちそうだと感じた。なかなか良い営業本だった。
「営業」とは再現性のある科学目次
第1章 お客様に選ばれ続けるために欠かせない「マーケティング」の考え方
第2章 幸せにしたい人(=お客様)について深く理解するための「リサーチ」
第3章 成果に再現性をもたらす「循環型営業サイクル」
第4章 個人の営業力は「顧客接点の場数×成功・失敗体験」で磨かれる
第5章 組織の営業力は「リーダーの力量」以上に成長しない