とかく複雑な企業の稟議のしくみの理解・購買システムの理解・事業部同士の関係性の理解等々、大企業ならではのお作法を把握した上で、顧客との信頼関係を作り上げ、ニーズをとらえ、いかに発注を獲得するか。
熟練の知恵が要求されるエンタープライズ企業への提案に役立つ本を取り上げてみたい。
プロフェッショナル講座営業力 田坂広志
副題は「顧客の心」に処する技術と心得。大企業への提案について、単なるノウハウを超えて心構え的なものまで指南してくれる、社会起業家として仕事の思想を問い続けてきたことで有名な田坂広志さんが、ビジネス・スキル特に営業力をテーマに書いた本。
経営されていたシンクタンク日本総合研究所関連で展開されていたプロフェッショナルな細やかな営業には学ぶところが大きい。
詳細はこちら:【レビュー】プロフェッショナル講座 営業力 田坂 広志
関連記事:【要約】仕事の思想 田坂広志
大型商談を成功に導くSPIN営業術 ニールラッカム
タイトルの通りだが、大型商談(得てして大企業向けが多いと想定される)において成果をえるために有効な「SPIN」という質問法について書かれた本。
SPINは以下の4つの質問の頭文字となっている。
- Situation Questions 状況質問
- Problem Questions 問題質問
- Implications Questions 示唆質問
- Need-payoff Questions 解決質問
それぞれを的確に繰り出すことで、買い手自身が納得して購入に至るような状況を作り出すというもの。大企業ほど、ウリウリの営業ではなく、質問を活用してニーズに近づいて行くというもの。大企業向けの営業手法として長く読まれ続けている名著と呼ぶべき1冊。
詳細はこちら:【レビュー】大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
チャレンジャーセールスモデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」 マッシュディクソン ブレント アダムソン
同書によると、近年パフォーマンスの高い営業を行っている企業を分析すると、従来型の御用聞きの営業ではなく、「指導」「適応」「支配」などをキーワードとするチャレンジャー(論客)タイプのセールスが継続的に高い成果を上げる傾向にあるということが分かったとのこと。
同書はそのチャレンジャーセールスと言われる新しい営業方法について詳しく書かれている。SPINの著者ニール・ラッカムもおすすめしている一冊。
隠れたキーマンを探せ データが解明した最新B2B営業法 神田昌典 リブコンサルティング日本語版監修
大企業への提案では企業側でも関わる方が多くなるが、その中でキーマンたる人をいかに見つけるかということが重要になっている。本書はそのキーマンの見つけ方について書かれている。まさに大企業攻略のための大企業の裏の仕組みを理解するのに役立つ本。
人生を変える営業スキル 遠藤公護
面白そうなタイトルの本が出たな、、と思っていたら、何回かお会いしたことのある方の本だった。
著者の遠藤さんはサン・マイクロシステムズ、オラクル、タブロー(Tableau)、セールスフォースなどの外資系企業で主にエンタープライズ営業に従事し、独立起業された方。
特にタブローでは前社長の佐藤さん(現Dataiku社長)とともに、数々の大企業への導入を果たし、日本でのタブロー拡大に大きく貢献された。
この本はエンタープライズ企業への営業の方法について、これまでのご経験から詳しく生々しく書かれており(読ませていただいた感じではやはりタブローでの営業経験から来る部分が大きそう)、外資を中心にエンタープライズ営業職に従事されている方には参考になる部分が多いだろう。
著者の言うTrustを生み出すための営業とはどんなものか是非じっくり読み取りたいところだ。最新のエンタープライズ営業に触れたい方にはおすすめできる一冊だ。
営業とは再現性のある科学 木下悠
リクルート、マクロミルを経て現在はスタートアップの役員をされている著者による営業本。
科学の鍵は、マーケティングとリサーチ、そして「循環型の営業サイクル」だという。特に大手企業への営業にこそ有用な考え方の詰まった本である。
詳細はこちら:【レビュー】「営業」とは再現性のある科学 木下悠
本物の提案営業 シグマクシス パートナー渡辺達生
シグマシクスという著名なコンサル会社のパートナーの方が書かれた仮説提案営業の本。
コンサル会社は営業はしないとよく言われるが、実はマネージャー以上のレベルになると、お客さんに仮説をあてて案件化することが求められる(偉くなるほど営業力が必要となるイメージ)。コンサルの行う”営業”がよく分かる本。
88.68パーセント勝てる営業 大神文雄、重松英博著、
米国の営業コンサル会社シップレイの日本法人の社員の方が自社が誇る最強営業提案フレームワークについて書いた本。
シップレイメソッドとは、買い手の立場に立って、商談をうまくまとめるためにSalesのテクニックだけではなく、ビジネスそのものをどのようにまとめていけば受注につながるのかを科学的・体系的に整理した手法であるとのこと。その高い勝率のひみつを垣間見ることができる。
買い手側の動きと考えを分かった上で「何をどの順序で行えば勝てるのか」が分かっているのが大きな強みであるとのこと。
本物の営業マンの話をしよう 佐々木常夫
著者は東レを勤め上げた人で「ビックツリー」というベストセラーを持ち、東レの関連会社東レ経営研究所の社長までつとめた人物。
営業の役割について、社内営業の重要性について、営業の戦術について、営業の価値について、営業が持つべきマインドについて等々高い視点から営業について語っている。
これを読むと営業職への見方が変わるかもしれない。
引き続き役立つ本が探せ次第掲載します。乞うご期待。
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