営業本マニアックス

法人営業やテレアポなど、さまざまな営業のテーマに関する本を取り上げ、おすすめのタイトルをリストアップしてゆきます。

【レビュー】チャレンジャー・セールスモデル

指導・適応・支配

営業名著おすすめ12選法人営業本おすすめ10選中の一冊。

 

前々から気になっていた一冊チャレンジャー・セールスモデル(副題は成約に直結させる「指導」「適応」「支配」を読んでみた。

 

この本については、SPINで有名なニールラッカムが序文を寄せており、”本書の内容にはゲームのルールを一変させる可能性がある”と書いている。

 

(ちなみにその序文には過去から現在までのセールス手法の系譜が順を追って説明されていて興味深い。)

 

ラッカムの言葉通り、発売以来多数のセールスパーソンに影響を与えた一冊であるのは間違い無い。




チャレンジャー・セールスモデルはコーポレート・エグゼクティブ・ボード(CEB)というアドバイザリー会社の販売員の生産性に付いての2009年頃から4年間をかけた調査によって明らかになった、最新のパフォーマンスの高い営業アプローチのこと。

 

B2Bが中心の考察ではあるが、現代では、今までの様なリレーションシップビルダー型(関係構築型)の営業ではなく、チャレンジャー型(論客タイプ型)の営業がパフォーマンスを上げており、企業として成果を求めるのであれば、この型を取り入れてゆくことを考えてゆくべきだ、ということが書かれている。

 

このチャレンジャー型の特性は以下の3点だとのこと(P47)。

 

指導

  • 顧客のビジネスについての独自の視点を持ち、双方向の対話能力に長けている「チャレンジャー」は、営業上のやりとりのなかで差別化ポイントを指導する(教え導く)ことができる。

 

適応

  • 顧客のバリュードライバーや経済ドライバーを把握している「チャレンジャー」は、顧客組織の中の正しい人に正しいメッセージを伝え、共感を得られるよう適応することができる。

 

支配

  • 「チャレンジャー」はお金の話もいとわず、必要とあらば顧客に多少の無理強いができる。したがって、営業プロセスを支配する(主導権を握る)ことができる。



上記の詳細の内容に加えて、この本では、組織でインサイトを創り出し、営業がそれを使えるような仕組みを作り出す大切さにも言及している。



一読して、顧客がますます知識を得て、ChatGPTのようなAIの支援を受けるようになっている現代、営業が顧客にインサイトを与えるのはますますハードルが高くなるのかなと思った。

 

(SNSでこのチャレンジャー・セールスモデルが通用しなくなったと言っている人がいるのも、あながち間違っていないのかもしれない、と感じた。)

 

じゃあ今後の営業はどうなってゆくか??を考えると、営業側もAIを駆使しつつ、更に高度なインサイトを提供できるように修練を重ねてゆくということしか今のところ思い当たらない。

 

月並みだが、著者の言うように組織としてインサイトを用意するということで、営業企画的な機能がますます重要になっていくということはあるのかもしれない。

 

やっぱり売れる仕組みづくりということかと思う。

 

この本は、営業の一つ類型を教えてくれ、今後のあるべき営業の姿を考える材料を与えてくれる。

 

手元において何度も読み替えしてみたいと思う。

 

(補足)

文中ところどころ、顧客側の意思決定がどのようになされるか、という話も書かれていた。これについては続編とも言える隠れたキーマンを探せをもう少しじっくり読んでみたい。

 

 

 

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