できる法人営業の条件
以前長く法人営業担当をしていた経験、今企業の現場で多くの企業から営業を受ける立場での経験からできる法人営業担当者の条件を考えると、以下のようなことが思い当たる。
- 発言に一貫性があり、信頼がおける
- お客さんの問いかけに的確に反応できる
- 他方でお客さんに対して適格な質問を発することができる
- しつこくない程度に(お客さんに頼まれる前に)継続的に情報を提供する姿勢を持っている
- 商売を少し横においてもお客さんのためを思って(先義後利的に)本音で提案することができる
- お客さんの会社の情報をよく収集しており、お客さんの組織の慣習などもつとめて把握している(組織の情報や、稟議システムのあり方、予算編成、決算関連の情報等々)
- プロジェクトマネジメント等への理解が高い
- 一度の断りにもめげず、タイミングを見計らって何度も提案することができる
- 交渉の中で各種調整がうまくできる
こう書いていて昔ラインの横の営業企画の部長に言われた法人営業の要諦を思い出した。
曰く「お客さんに専門知識等を提供することで、”先生”的な優位な立場にたつか、それともお客さんに愛嬌等をふりまいて気に入られるか。君の場合は前者かな?」
俺ってそんな愛嬌ないんかい٩(๑•ㅂ•)۶という感じではあるが、今考えると、確かにな・・・という感じではある。
以下、法人営業に特化したおすすめ本をまとめてみた。考え方から具体的な実行方法まで、できる営業マンになるための思考法が学べる本。少し時間を取って読んでみて欲しいと思う。
エンタープライズ営業向け
法人営業バイブル 大塚寿・井坂智博
リクルート式などの営業本で有名な大塚寿さんとリクルートスタッフィングで営業アウトソーシング組織の長をされていた井坂智博さんによる共著の営業本。
法人営業に特化しており、アプローチ・ヒアリング・企画立案・プレゼン・クロージングなどの営業実務について生々しく読者に知らせるために書かれた本であるとのこと(”明日から使える実践ノウハウ”が書かれている。)。
科学的な営業のために営業プロセスを明確化することの重要性が強く説かれているのが印象的。
リクルート式の法人営業の類型を知ることができる。法人営業では定番本といっていい一冊。
参考リンク:
【レビュー】「資料送っておいて」と言われたらチャンスと思え!大塚 寿 - 営業本マニアックス
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術 ニール・ラッカム
商談の中でいかにニーズを発見し、SPIN(Situation Questions 状況質問|Problem Questions 問題質問|Implication Questions 示唆質問|Need-payoff Questions 解決質問)を使って、潜在ニーズを顕在ニーズへと育てていくか、その方法が各種調査を通じて科学的に書かれており、大型商談の対し方が非常に良く理解できる。
特にITなどの大規模商談への活用で高い評価を挙げている本。私も前々職で関連する研修を受けたり、上司に薦められたりしておりに触れて参考にしてきた次第。
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「無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」 高橋浩一
2019年に出た本。最近出た法人営業の本としては、非常に評価が高い様子。著者は東大を卒業し、外資系コンサル会社を経て人材研修のベンチャー企業を起業、その後営業コンサルトしてのべ3万人を指導してきた方だとのこと。
営業担当者とお客さまの間にある情報ギャップを乗り越えて、接戦を制する「3つの質問」、お客さまの希望や期待と実際の営業活動のズレを解消する「4つの力」(「質問力」「価値訴求力」「提案ロジック構築力」「提案行動力」)が説かれている。
営業ヒアリングでの深堀の仕方やお客さんの頭の中とのギャップをどう埋めてゆくか、などかなり参考になる。
提案するよりも相手を理解することを大切にしろというのは法人営業にとっては非常に大切な心がけで、真剣に考えるいいきっかけを与えてくれそう。
なお、同著者のバカ売れ営業トーク1000という本も営業トークがユースケースごとに整理されていて参考になる。
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チャレンジャー・セールスモデル マシュー・ディクソン/ブレント・アダムソン
CEBという世界有数のアドバイザリー会社の企業の販売員の生産性についての調査によって明らかになった、現在の営業パフォーマンスの高い営業の類型について書かれた本。
現在まで考えられていた関係構築型の営業ではなく、”指導”適応””支配”という特性を持ったチャレンジャー型(論客タイプ)の営業が高いパフォーマンスを上げる傾向にある、と書かれている。
時代の価値観が大きく変わってきている現在、法人営業活動において、手法が古くなっていないか、見直すために是非手に取っておきたい一冊。
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隠れたキーマンを探せ! ブレント・アダムソン他著 神田昌典他監修
題名の通り、顧客の購買に大きな影響力を持つキーマンを探し出すための新しい営業手法が説かれている。
具体的には”チャレンジャー顧客(カスタマー)”を探し出し、味方に引き入れ、同僚説得のノウハウを授ける、というもの。
組織が肥大化し、購買の意思決定がその関係者の多さから複雑になる昨今、法人営業が押さえておきたい考え方がデータとともに詳述されている。
ナワテの某法人営業のプロの方におすすめしてもらった一冊。
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中小・SMB営業向け
柴田和子終わりなきセールス
第一生命で保険販売で30年連続で日本一を記録してギネスブックにも掲載されたという伝説のセールスレディ柴田和子さんの本(ちなみに今は名誉調査役という役職についているそう。)。
保険営業というと、個人営業?と思いがちだが、柴田さんは法人中心に活動されているため、法人営業を行っている人にこそおすすめ。
いつも立ち戻るべきセールスの基本とは何か、どのような会社に営業をかけるか、出世する担当者の特色とは?などなど、参考になる視点が多数出てくる。
柴田和子 終わりなきセールス
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リクルートという奇跡 藤原和博
著者の藤原和博さんはリクルートで2年連続トップセールスとなるといった活躍をした後に営業マネージャーを務め、フェローという役職まで上り詰めた後で東京都初で民間人で公立中学校の校長なども勤めた有名人。
本社はその藤原さんがリクルートという会社を解明した本。藤原さんが実践されたリクルート式の営業についても詳述されている。担当した付加価値のない商材をどう売ったのか、お客さんに対してどういう営業サービスを行っていたか、リクルートの営業は関東と関西の融合物、などなど非常に興味深い話が満載である。
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誰でも売れる「プロセス思考」営業術 藤岡晋
センサー等技術系の部品販売等で、その営業力で有名なキーエンスのトップセールスマンとして活躍し、現在営業戦略立案のコンサルタントをしている筆者による法人営業指南の書。
行き当たりばったりの営業ではなく、プロセス思考を持って、施策の徹底実行と素早い効果検証を伴った営業活動をすることが大切、ということを中心に法人営業成功のコツを教えてくれる実践的な営業本。
冒頭にある、案件や商談を決める確率を上げるよりも、案件や商談の数をふやすことを考えたほうが、売り上げを伸ばし続けられるというのは首肯できる。
では、どう案件を増やすのか。是非それを学びたい。
誰でも売れる「プロセス思考」営業術
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至高の営業 杉山大二郎
コピー機などの企業向けICTサービス提供で有名なリコーの販売強化センターのセンター長に就かれており、今は作家として活動している著者が仕立てた営業小説。ストーリーとしてはスーパー営業マンが駆け出し営業マンを指導し、短期間で一人前に育て上げていくという内容なのだが、少し脚色も入っているのかもしれないが、長く営業現場で知見を貯められた著者による営業のエッセンスが多数公開されている。
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仕事がデキると言われる人が必ずおさえている新規開拓営業の鉄則 浦上 俊司
法人営業でも特に「新規開拓営業」に特化して、その手順などの鉄則が28紹介されている。著者の浦上さんはリクルートなどを経て営業力を磨かれた方であるとのこと。
多少古くなったが、内容自体は古びていない。お得意の継続ももちろん大切だが、新たに顧客を作り出す新規開拓営業ができると、更に会社に貢献できる。
こちらの本はマンガ版も出るなど、依然高い人気がある。
仕事がデキると言われている人が必ずおさえている新規開拓営業の鉄則
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「営業」を設計する技術 藤冨 雅則
主に経営者や営業管理職向けに営業の売れる仕組みづくり(「波及営業法」)を説いている本。
「波及営業法は、競争せずに勝てる市場を見つける方法から、迅速に新規開拓を進めるための具体的かつ実践的な営業戦略の組み立て方までを、設計する技術」だとのこと。
著者の藤冨さんは“営業戦略設計師”という肩書き通り、大小様々な企業の営業コンサルをされている方。その視点が非常に参考になる。私は著者のメルマガとかもよく読ませて貰っている。
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実戦で役に立つ本を中心にどんどん更新予定です。
◉次はこちらの記事もどうぞ
【レビュー】[法人営業編]誰よりも売る!アポ取りの達人 渡瀬謙
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