証券営業出身の人が書いた営業本おすすめの9冊で取り上げている1冊。
どんな人にも大切な「売る力」ノート 津田晃を読んでみた。副題はプロ経営者が書き続けた仕事の「気づきメモ」。
著者の津田晃さんは地道な営業活動が認められ、なんと43歳という若さで野村證券の役員に抜擢され、野村證券の後にはベンチャー投資で有名なジャフコなどでも活躍した人物。
著者は20代からどうやったら「売る人間」になれるのか、備忘ノートを作り、都度そのコツを書き連ねてきたのだそうだ。
本書はその備忘ノートの中身を抜粋し、編集されたものだとのこと。
全体的に野村證券の営業の様子がほうぼう出てきて興味深い。
例)新人が100枚の社長の名刺を集めてくるという難題を課される話(P22)や競争原理を使って社員を働かせる話(P172)、など。
著者のような出世した人でも1日名刺100枚とか言われたりして追い詰められ、大学のゼミの先生に会社をやめるべきかどうか相談した、というような記述もあり、妙に共感してしまった。
今回チェックしたのは以下のような部分。
P18
営業で成功しようと思ったら、「セールス」ではなく、「ビジネスの視点」を持たなければなりません。
P34
粘ってつかんだチャンスを宿題として持ち帰り、相手が驚くほどのクイック・レスポンスでつないでいく。営業の基本はこれに尽きる。
P45
資料の厚さは、すなわち迷いの表れ。必要なのは主旨、問題提起、結論のいずれでもかまいませんが、答えを書いた1枚の紙です。
P158
(野村證券には)営業のために全社が一丸となるような企業文化があった・・・
P199
はっきり言えるのは、どんな上司でも上司のいる人は、とてもラッキーだと思うのです。使えないと思える上司は反面教師となり、決断力のある上司は見習うべき師となってくれる。
本書には、普通の人が、コツコツコツコツ営業の基本活動を徹底し、顧客の信頼を経て、「売る人間」になる、そのヒントが書かれている。
営業新人の方もそうだし、経験のある人も、てっぺんまで上り詰めた人だけに色々学ぶことができそう。
77のメモがあるが、それぞれそんなに長くないので、難なく読むことができるのもよし。著者の他の著作と一緒に併読するのも良さそう。
※個人的には改めてメモのとり方やそれをどう活かすかにもいを払ってゆきたいと思った次第。
どんな人にも大切な「売る力」ノート目次
第1章 基本の「売る力」を身に付ける
第2章 お客様を大切にする「売る力」
第3章 「売る力」をつくる思考
第4章 壁を乗り越えるための「売る力」
第5章 「売る力」をつくるためのマネジメント
第6章 さらに上を目指す「売る力」
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