
営業プロセスを分解し、自分の弱点となっている部分の改善を考えることは、営業活動の成功に向けた一つの方法論だろう。
一般的な営業プロセスは、以下のように進行する。
- 見込み客のリストアップ(リード獲得)
- アプローチ(初回接触)による関心喚起
- ヒアリングによる顧客課題の把握
- 提案による最適な解決策の提示
- クロージング(契約交渉・成約)による成約
- アフターフォローによる信頼関係の構築
では、この営業プロセスをどう最適なものにしていけばいいか?今回はそれに応える、営業プロセスについて詳しく書いてある良本を紹介したい。
- The Model 福田康隆
- Sales is 今井 晶也
- 営業 冨田和也
- 訪問しない時代の営業力強化の教科書 株式会社セールスフォース・ドットコム他
- D・カーネギー セールス・アドバンテージ
- 誰でも売れる「プロセス思考」営業術 藤岡晋
- 90日間でトップセールスマンになれる 最強の営業術 野部 剛
The Model 福田康隆
副題はマーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス。
2019年初頭に出版された本。ERPのオラクルやSFAのセールスフォース、マーケティングオートメーションのマルケト日本法人社長を経て、現在独立してコンサルティング会社を経営されている福田康隆さんが著者。
セールスフォース等で行われている、高度な営業分業体制”The MODEL”についてが主たるテーマ。
現代の購買行動の変化に対応する新たな営業モデルの必要性が強調されており、マーケティングからカスタマーサクセスまでの一連のプロセスを「分業」から「共業」へと進化させる方法が解説されている。
SaaSビジネスにおける「科学的な営業」と組織づくりの全体像を解説しており、実用性が高く「王道の教科書」(もしくは原典)として高評価を得ている。
一方で、内容を安易に鵜呑みにせず、自組織に最適化すべきという指摘もある。
Sales is 今井 晶也
副題は科学的に成果をコントロールする営業術。
営業支援の専業会社であるセレブリックス社が23年間の膨大な営業データから編み出した独自メソッドを同社のセールスエヴァンジェリストである著者が解説した本。
本書は、「買わない理由」の分析を通じて再現性のあるプロセスを確立し、営業プロセスを7分割して否定材料を逐一なくすことで、顧客が「買いたい」と感じる営業を追求している。
「営業版・虎の巻」として、営業パーソンが成果を科学的にコントロールする術を学ぶことができる。
最先端の営業手法を学びたい人におすすめ。
同じく著者の以下の本も注目。著者の1,200社12,000商品での実績に基づいた営業ノウハウとAIの叡智を組み合わせた、最も効率的で効果的な営業メソッド「インテリジェント・セールス・プロセス」について述べられている。
営業 冨田和也
副題は野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて。著者が野村證券での経験に基づき、「仮説・検証ループ」で営業成績を飛躍させる思考法と実践スキルを解説。
本書は、日本の旧来の営業常識を打破し、「個人任せ」から「組織的な改善」へ、「御用聞き営業」から「仮説営業」への転換を促す。
営業をアップデートするために必要な力として、「仮説思考力」(圧倒的なスピード感で成果を出せる「仮説営業」とは?)、「因数分解力」(思考を整理し、課題の見落としを防ぐ)、「確率論的思考法」(営業プロセスを数字で把握する)、「PDCAを回し続ける力」(営業におけるPDCAとは)が挙げられている。
営業の各プロセスを改善し続けることで桁外れの実績を出す方法論が、思考法から実践的スキルまで多角的にひもとかれた実用的な一冊。
詳しくはこちら↓
訪問しない時代の営業力強化の教科書 株式会社セールスフォース・ドットコム他
本書は、新型コロナウイルス対策の影響で変容した「訪問しない時代の営業力強化」に焦点を当てた一冊である。
営業とマーケティングが分断されている現状を打開し、SFA、MA、インサイドセールス、カスタマーサクセス、デジタルマーケティングといった幅広い領域を200点の図解で網羅的に解説している。
両部門の連携を強化し、本質的な課題を発見するための統合戦略とそのロードマップを
提供しており、ビジネスに関わる全ての人に役立つ内容となっている。
D・カーネギー セールス・アドバンテージ
D・カーネギー協会が、セールス技術だけでなく顧客との関係構築を主眼に置く販売原則を説いた書である。
『人を動かす』の精神を販売に応用し、見込み客開拓から成約、フォローアップまで、質問や会話、プレゼン、交渉など具体的かつ実践的な販売プロセスと技術が書かれている。
※成功者の実例付きで立証された「売るための論理的プロセス」を、個性や能力に合わせて採り入れ、自分なりのスタイルを築くことを目標としている。
営業職だけでなく、全てのビジネスパーソンにとって必読の価値がある。
誰でも売れる「プロセス思考」営業術 藤岡晋
元キーエンスのトップセールスである藤岡晋氏の著書だ。本書は、結果より過程(プロセス)を重視する営業術を提唱する。
案件の成約率に加え、訪問前のヒアリング、顧客ニーズの探り方、具体的な行動目標の達成方法が解説されている。特に製造メーカー系の法人営業に有益と評されている。
詳しくはこちら↓
誰でも売れる「プロセス思考」営業術 でキーエンスの営業手法を学ぶ
90日間でトップセールスマンになれる 最強の営業術 野部 剛
著者は、営業支援システム(SFA)の「eセールスマネージャー」を中心に営業支援システムを提供しているソフトブレーン社の社長。
営業活動を体系的なプロセスとして捉え、誰でも再現可能にするための「プロセスマネジメント」に基づいた具体的な方法論を提供している(ちなみにプロセスマネジメント大学の学長も務められているとのこと。)。
本書はソフトブレーン・サービス社が培った「90日間営業力強化プログラム」のノウハウを公開するもので、営業スキルを「5ステップ70スキル」に分解して属人性を排した実践的な内容が公開されている。
若手営業マンや法人営業の管理職にとって、具体的な営業シナリオの進め方を学ぶ上で役立つ一冊。
詳しくはこちら↓
営業は「とにかく売る」だけの仕事ではなく、成果につながるプロセスを正しく理解し、実行することが重要である。
本記事で紹介した書籍はいずれも、営業初心者でも実践できるようプロセスを丁寧に解説している。まずは一冊からでも手に取り、日々の営業活動に当てはめてみることが第一歩である。
焦らず、着実に自分なりの型を身につけることで、やがて結果にもつながっていくだろう。営業の基本を学ぶよい機会として活用してほしい。
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